【救急の日に考える】知っておきたい!小児の緊急時対応 ~熱性けいれん~
- 2025年9月8日
- 専門外来(アレルギー、おねしょなど),感染症あれこれ
9月9日は「救急の日」。この日は、救急医療や救急業務に対する正しい理解と認識を深めることを目的とした日です。
今回はこの「救急の日」にちなんで、お子さんの急なけいれん時に、ご家庭でできる対応についてご紹介します。
◆熱性けいれんってなに?
熱性けいれんとは、発熱に伴って起こる一時的なけいれんのことです。
生後6か月~5歳くらいまでの乳幼児に多く見られ、特に風邪などの感染症による発熱時に起こることが多いです。
【原因】ウイルス感染などによる急な発熱(38℃以上の高熱)が引き金。通常、発熱後6~24時間以内にけいれんを起こすことが特徴。
【発症年齢】多くは1歳~2歳前後
【けいれんの持続時間】一般的に数十秒~5分以内
【主な症状】
●意識がなくなる(呼びかけに反応しない)
●手足を突っ張ったり、ガクガクとふるえる(左右対称)
●白目をむく(眼球上転)
●顔色や口唇が青くなる(チアノーゼ)
Q. 熱性けいれんは繰り返すの?
A. 約30〜40%の子どもが再発します。
特に、1歳未満で初めて熱性けいれんを経験した子は、再発しやすい傾向があります。
Q. 後遺症は残る?
A. 通常の熱性けいれんでは、知能や発達に後遺症は残りません。
ただし、「複雑型熱性けいれん」の場合は、将来てんかんを発症する可能性がわずかにあります。
◆自宅での対応方法は?(けいれんの場合)
けいれん発作を目の前にすると、誰でもパニックになりがちです。
大切なのは、「落ち着いて、安全を確保する」ことです。
1.あわてず、まずは落ち着くこと
2.安全な場所に寝かせる
柔らかい布団の上などに、横向きで寝かせます(嘔吐しても窒息しにくいようにするため)。
3.けいれんの時間を確認する
●スマートフォンのストップウォッチなどで発作時間を計測しましょう。
●5分以上続くようなら救急要請を!
4.けいれんの様子を観察
どちらの手足が動いたか(けいれんの左右差)、目の向き、意識の有無などを確認し、医療機関受診時に医師に伝えられるようにしましょう。
❌ してはいけないこと
●抱きかかえて揺する
●口に指や物を入れる(噛まれてケガをするおそれや窒息するリスクがあります)
●無理に抑え込む
◆救急車を呼ぶべきサインは?
以下のようなケースでは、すぐに119番通報しましょう。
熱性けいれんではなく、髄膜炎や脳炎・脳症の可能性もあります。
●けいれんが5分以上続く
●けいれんが左右非対称
●けいれん後も意識が戻らない
●けいれん後も呼吸が苦しそう・顔色が悪い
●生後6か月未満または5歳以上でけいれん
●高熱があり、首が硬い
◆熱性けいれんとインフルエンザ脳症の違い
【インフルエンザ脳症の特徴】
●けいれんは、10分以上続いたり、繰り返し起こす、けいれんがおさまっても意識がないのが特徴です。
●インフルエンザ脳症は短時間で進行し、熱性けいれんとは異なり、治療抵抗性のけいれんで、意識障害を伴い、死亡率や後遺症の危険性が高いです。
●生後6か月〜5歳前後の乳幼児が中心で、とくに2歳以下で多いといわれています。脳の発達段階が未成熟なため、サイトカインストームや代謝障害への耐性が低いと考えられています。
上記のような症状が出現した場合はためらわずに救急要請しましょう。
◆日ごろからの備え、ワクチン接種が大切です!
緊急時に慌てないためには、日常からの準備が重要です。
✅ 家庭でできる備え
●けいれん時の対応を家族で共有する
●お子さんの持病や既往歴をメモする
●「こども医療電話相談(#8000)」を活用できるよう確認する
✅ ワクチン接種による備え
●インフルエンザ脳症は、インフルエンザそのものを予防することで発症リスクが低下するとされています。
●ワクチン接種はインフルエンザの発症・重症化予防(入院リスクや生命への影響軽減)に有効であると多数の研究で示されています。
●インフルエンザウイルス感染症は、2023年、2024年と流行しており、2025年も流行する可能性があります。インフルエンザに『かからない、重症化しない、他人にうつさない』よう、早めのワクチン接種をおすすめします。
★インフルエンザワクチンの種類や特徴(注射と点鼻型ワクチンのフルミスト、どっちがいいの?)に関するブログ
★インフルエンザワクチンのご予約
インフルエンザワクチン注射の予約
https://futako.mdja.jp/index.php?del2=1&gid=5
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まとめ
「熱性けいれん」は多くの場合、心配のない一時的な症状ですが、正しい知識と冷静な対応が何よりも大切です。
救急の日をきっかけに、ご家庭でもお子さんの急な発熱・けいれんにどう対応するかを話し合ってみてください。
川崎市高津区小児科 二子新地ひかりこどもクリニック
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