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おねしょ(夜尿)

Medical

夜尿症|高津区の小児科 二子新地ひかりこどもクリニック|二子新地駅徒歩1分|日曜診療

おねしょ(夜尿症)

おねしょは「病気」?

おねしょ(夜尿症)は、睡眠中に無意識で排尿してしまう状態です。
多くは5歳頃までに自然に治まりますが、小中学生の約6%にも見られる、比較的多い症状です。

まれに、尿崩症や尿路感染症、二分脊椎などの病気が隠れていることもあるため、6歳を過ぎても続く場合は、医療機関へ受診をおすすめします。

図でわかる夜尿症って何?

定義(いつから夜尿症?)

年齢 5歳以上
頻度 月1回以上
期間 3か月以上続く

夜尿症のタイプ

タイプ 一次性 二次性
説明 生まれてから
おねしょが持続
一度治ったのに
再びおねしょが
始まる
割合 約75〜90% 約10〜25%

日中の症状の有無

分類 単一症候性 非単一症候性
日中の症状 なし
(夜だけ)
あり
(昼もおもらし)
主な原因 ホルモンの
働き等
便秘、膀胱機能の
問題等
割合 約75% 約25%

こんなときは相談を!

  • 6歳を過ぎてもおねしょが続いている
  • 一度治まったおねしょが再び始まった
  • 日中にもおもらしがある
  • 家族や本人が不安を感じている

夜尿症は決してめずらしいことではありません。
お子さんの成長に合わせて、適切なサポートを受けることで改善が見込めます。

日中のお漏らしと夜のおねしょは「膀胱の発達」がカギ

夜のおねしょや日中のお漏らしの背景には、「膀胱の発達の遅れ」が関係していることが多くあります。

排尿機能の発達

生後〜1歳

膀胱に尿をためられるようになり、排尿回数が減少

2〜3歳

尿意を感じ、意識的に排尿

4〜5歳

膀胱が安定し、我慢ができ、夜間もトイレに行ける

膀胱機能が未熟なサイン

  • トイレが1日9回以上
  • 排尿が10秒以内で終了

これらは「過活動膀胱」の可能性があります。

過活動膀胱とは?

膀胱機能が未発達で、尿を十分にためられない状態です。
5~13歳の約7%に見られ、以下のような行動が特徴です。

  • 急な尿意でトイレに駆け込む
  • 間に合わずに漏れる
  • 小股を押さえるなどの「我慢ポーズ」

「不安定な膀胱の状態=過活動膀胱」が夜のおねしょにも影響します。

気づかず漏らすことも

注意が遊びなどに向きすぎて、おもらしに気づいていないことがあります。
「漏れていたこと」や「におい」について優しく伝え、時間を決めて排尿させたり、パンツが染みていないか注意を向ける練習をしましょう。

夜尿症の主な原因

1.夜間多尿
夜間に作られる尿が多くなるタイプ。
通常は「抗利尿ホルモン」により夜の尿量は減りますが、この分泌が少ないと昼と同じくらいの尿が作られます。
夜遅い食事や水分摂取も影響します。
2.膀胱容量が小さい
(過活動膀胱)
夜間に尿をためきれず漏れてしまうタイプ。
過活動膀胱があると、早い時間におねしょをしてしまうことがあります。
3.覚醒のしにくさ
膀胱が満杯になっても尿意で目覚めにくく、漏れても不快に感じて起きることもあまりありません。起床時にも尿意を感じにくく、感覚の発達が未熟なことが影響しています。

膀胱容量と夜尿タイプの目安

膀胱容量の目安は(年齢+2)×25mlです。
たとえば8歳で約250ml。

  • 300ml以上出る → 多尿型
  • 200ml以下で漏れる → 膀胱型
  • 両方該当 → 混合型

診察の流れ

  1. 問診:
    生活習慣や排尿状況の聞き取り
  2. 排尿日誌:
    食事・就寝・夜尿の記録
  3. 尿検査:
    腎機能や塩分排出の確認

これらの情報をもとに、原因を見極め、お子さんに合った治療法を一緒に考えていきます。

夜尿症は自然に治るの?

夜尿症は自然に治ることもありますが、1年での改善率は約13%と高くはありません。

一方、治療を始めると1年後には約47%、2年後には72%が改善。
つまり、治療によりおねしょから早く解放される可能性が大きく高まります。

夜尿が続くと、自信喪失や友人関係のトラブルにつながることもあります。
「そのうち治る」と放置せず、早めのサポートが心と体の健やかな成長につながります。

夜尿症の治癒率
赤司俊二, 小児科診療 74(4):51-56, 2011

夜尿症の治療とは?

夜尿症は成長とともに自然に治ることもありますが、改善が見られない場合は、適切な対応が必要です。
治療は主に以下の4つの柱で進めます。

1. 生活習慣の見直し

まずは日常の習慣を整えます。

  • 便秘解消
    膀胱の圧迫を防ぎます
  • 薄味の食事
    喉が渇くのを防ぎます(夕食時のふりかけ、お味噌汁のおかわりはやめましょう)
  • 夜の水分制限
    夕食時から就寝前の飲水は200ml程度が目安
  • 寝る前の排尿習慣
    寝付けない時は、もう一度トイレに促しましょう

2. 排尿指導で意識づけ

夜尿日誌

  • 定時排尿
    日中も2〜3時間おきにトイレ(下校前やゲームを始める前にトイレへ行く習慣をつけましょう)
  • ゆっくり排尿
    20秒を目安に、しっかり出しきる意識で
  • 気づきのサポート
    おねしょの原因を親子で振り返る時間も大切

日中にこのような取り組みが膀胱機能を安定させ、夜尿の改善につながります

3. 内服治療

薬のイラスト

薬は1種類または複数を組み合わせ、効果をみていきます。

4. アラーム療法

センサー付きブザーが尿を感知し、音がなったらトイレに行くようにします(起きられない場合は、ご家族が起こしてトイレに連れていきます)。
これにより、夜間の膀胱容量が増え、おねしょが改善します。効果が出るまで時間はかかりますが、特に「膀胱型」のお子さんに有効です。

おむつ

当院の治療方針

内服・アラームはお子さんの状態により使い分けます。
効果がなければ、早めに次の治療に切り替えます。
改善が見られた後も、急にやめず、少しずつ減らす「ステップダウン」が重要です。

ご家族としっかり相談しながら、安心して治療を進められるようサポートします。
※当院では「夜尿症診療ガイドライン」に基づいた標準的な治療を行っています。

受診の目安について

年長さんまでは、生活習慣の見直しだけでも改善することが多いです。
小学生になっても続く場合や、日中のおもらしもある場合は、ぜひ一度医療機関にご相談ください。

当院の治療実績(2024年度)

夜尿症の治療で大切なこと

焦らず、ゆっくり取り組みましょう

夜尿症はすぐに治るものではありません。
時間をかけて、お子さんのペースで向き合うことが大切です。

ご家族の協力が必要です

一緒に排尿日誌をつけると、改善の変化が見えやすく、お子さんの励みにもなります。

できた日はしっかり褒めて

カレンダーのイラスト

おねしょをしなかった日は、カレンダーにシールを貼るなど、楽しみながら継続できる工夫をしましょう。

最後に

夜尿症は自信や心の成長にも関わる大切なテーマです。
治療が進むことで、お子さんの表情や意欲が大きく変わることもあります。

「そのうち治る」と待つだけでなく、学校行事などに安心して参加できるよう、早めのご相談をおすすめします。お気軽にご相談ください。

当院における夜尿症の治療実績(2024年)

2024年に初診で夜尿症の診療を受けた34名(2025年5月時点で継続フォローした患者さん)のデータをまとめました。

  • 年齢(中央値)
    7.0歳
  • 男女比
    男児25名、女児9名
  • 夜尿の分類
    単一症候性 27名/非単一症候性 7名(20.5%)
  • タイプ別内訳
    多尿型11名、膀胱型12名、混合型11名
  • 治療経過
    軽快終了13名(38.2%)、改善傾向21名(夜尿日数が50%以上減少)、不変・離脱はなし

男児が多く見られ、タイプ別の分布に大きな偏りはありませんでした。

年齢別傾向:低年齢ほど膀胱型が多い

5~7歳では「膀胱型」が多く、8~12歳では「多尿型」の割合が増える傾向が見られました。

当院の治療実績(2024年度)

タイプ別にみた治療経過

■膀胱型
当院の治療実績(2024年度)

排尿トレーニング(ウロセラピー)のみで改善したケースが約1/3でした。 半数にアラーム療法を併用し、良好な経過が得られました。

■多尿型
当院の治療実績(2024年度)

食事・水分指導など生活習慣の見直しにより、約半数が薬やアラームなしで改善しました。治療では内服治療が行われました(約半数)。

■混合型
当院の治療実績(2024年度)

生活指導だけでの改善は少なく、多くで内服+アラーム療法が必要でした。
3種の薬を併用した例もありましたが、いずれも良好な経過をたどっています。

まとめ

夜尿症のタイプと年齢に応じて、適切な治療方法を選ぶことが重要です。
当院では、個々の状態に合わせた柔軟な治療を行い、多くの患者さんで改善が見られています。

よくある質問

まだおねしょをしていますが、夜パンツをはかせた方が早くオムツを外せるようになりますか?

パンツをはいて寝ても、尿が漏れたときに不快に感じるということはあまりなく、早くオムツが外せるようにはなりません。
漏れた後の洗濯など、ご家族の負担が強くなることもあります。
まだおねしょの回数が多い場合には、夜間オムツで過ごしてもおねしょの治りが遅れることはありません

9歳の男の子です、まだ夜のオムツが取れません。対応を教えてください。

9歳で週3日以上おねしょが続いていると自然治癒率が低いため、医療機関で治療について相談してみましょう。
生活では、以下の点に注意しましょう。

  • 夕食は早めに食べ終え、食後から就寝まで2時間程度あける
  • 夕食時から就寝までの飲水量を200mL程度にする
  • 夕食時の塩分摂取量を減らす (ふりかけやお味噌汁のお替りなし)
  • 就寝前に2回トイレに行くようにする
4歳の子が、まだたまに夜おねしょします。自然によくなるのでしょうか?

たまにおねしょする程度であれば、9歳ごろまでは自然治癒が望めるため、焦らずに様子をみていきましょう。
夕食が遅くならないようする、夕食後におやつを食べないなど、日頃の食生活を注意するとともに、便秘もおねしょの原因となるため注意しましょう。

中学生と小学校高学年の子がいます、二人とも夜のオムツがとれず、なかなか良くなりません。

夜尿症の原因を見直すとともに、治療方法がお二人に合っているのか再確認する必要があります。
内服薬治療の場合、複数種類を併用する場合もあります。
治療改善が乏しいようでしたら、専門施設にご紹介していただくことも考慮してください。

トイレの仕方によって、おねしょの頻度に影響はありますか?

夜尿症の原因のひとつに、膀胱機能の不安定さ (過活動膀胱) があり、以下のようなトイレの仕方をすることがあります。

  • トイレにバタバタと駆け込む (尿意切迫)
  • 間に合わず漏れてしまう (おもらし)
  • 1回の排尿時間が短い、尿回数が多い (トイレの仕方が雑)

トイレの仕方を見直すことでおねしょが治ることもあります。

4歳です。寝る前にトイレに行かせていますが、朝起きるとオムツがパンパンです。それほど飲んでいるわけではないですが、膀胱のサイズが小さいのでしょうか。

4歳では膀胱機能が不安定で、十分に尿をためられないことがあります。尿を濃縮して尿量を調整するホルモンの働きがまだ弱く、夜間の尿量が多くなっている可能性もあります。
4歳でおねしょがなくなるお子さんもいますが、個人差が大きい年齢です。食事時間や食事内容に注意しながら様子をみましょう。

4歳です。朝起きたときにオムツがパンパンな日と、少し濡れている日があります。パンパンな日が減ってきたら、パンツで寝たほうがよいでしょうか?

漏れる量が少なくなった、朝まで漏れなかったというのは、ホルモンの働きで尿量調節ができ、膀胱機能が安定してきた証拠です。
パンツで寝て朝まで漏れなかったという経験は、子供たちにとってとても嬉しいものです。パンツで寝たほうが早く治るということではありませんが、治したいモチベーションになると思います。

12歳です。日中頻尿で、本人は知らない間に漏れてしまうことがあると言っています。夜もパジャマが臭う程度の漏れがあり心配です。

日中の漏れがある場合、まずはその原因と対応を考える必要があります。泌尿器の病気が隠れている可能性もあり、医療機関受診をおすすめします。
何かに夢中になりすぎて漏れたことに気が付かない場合、定時排尿がすすめられます。トイレに行きたくなってからではなく、2時間程度を目安にトイレに行き、1日漏れない状態を意識して作っていくことで、排尿への意識を高めていきます。

4歳で、まだ夜のおむつがはずれません。父親が小学生までおねしょしていたと言っていましたが、遺伝はありますか?

夜尿症は遺伝する病気です。
両親の一方に夜尿症があった場合、子供が夜尿症になるリスクは5~7倍高くなるといわれています。(両親が夜尿症であった場合は、11倍といわれています。)

4歳児のトイトレがうまくいかずに叱ってしまいます。心の余裕を保つためのアドバイスはありますか?

トイレトレーニングの進み方は個人差があり、4歳でうまくいかないことはまだ不思議ではありません。
うまくできた時に褒めてあげ、少しずつ成功体験を増やしていきましょう。

年長の息子です。パンツで寝てもオムツで寝ても気づくことなくおねしょをしてしまいます。夜のオムツはずしはどのように進めていくほうがよいのでしょうか?日中のトイレ回数は多いほうです。もよおすとすぐにトイレに行きたがります。昼間のトイレは何時間おきくらいが目安でしょうか?

1日9回以上トイレに行く場合は頻尿です。尿意を感じてから我慢できず、すぐにトイレに行かないといけない状態を尿意切迫といい、膀胱機能が不安定 (過活動膀胱)であるサインです。
日中のトイレは、2-3時間おきに,ゆっくり時間をかけて丁寧に排尿することを指導しましょう。膀胱機能が安定すると、夜のおねしょも治っていくようになります。

11歳男児、おねしょをすることがあります。寝ぼけがひどく、夜中に起きてくるのですが、トイレではないところでおしっこをしようとしたりします。受診したほうがよいでしょうか?

夜中にトイレに起きようと体は反応しており、もう少しで夜尿症は治りそうな様子です。夜尿頻度が減っているようなら、もう少しで改善するかもしれません。
睡眠時の行動は、本人も無意識な部分もあり、トイレ以外のところで排尿しようとする様子を治療することは難しいかと思います。

4歳の娘、まだ就寝時だけオムツをしています。本人はまだオムツをはきたいといっています。どのようにオムツ外れを促していけばよいでしょうか?

まだ夜はオムツをはいていないと心配、ということであれば焦らず本人のペースでパンツにするタイミングをみていくとよいと思います。
夜のおねしょがないようなら、「週に1日だけパンツにしてみない?」と、本人と相談して決めてみてはいかがでしょうか。

5歳の息子のおねしょが頻繁です。週5日は夜中に1回以上トイレに起き、そのあとにおねしょをするのが週3日以上あります。家の中でおもらしをすることもあり心配です。

まだ膀胱機能が不安定 (過活動膀胱) な状態がありそうです。日中もおもらししているのであれば、医療機関に相談することをおすすめします。
ご家庭では、定時排尿や丁寧に排尿することを一緒に取り組んでみてください。

受診希望の方は、お電話でご相談ください。
TEL:044-844-9058

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